研究課題
若手研究(B)
本研究では、赤方偏移3<z<3.7にある極めて強い[OIII]λ5007輝線を示す星形成銀河の系統的な探査をおこなった。探査は強い輝線によるKバンド等級の超過に注目しておこない、240天体をサンプルとして抽出した。これらのうち19天体についてすばる望遠鏡のMOIRCSをもちいた近赤外線分光観測によって、実際に強い輝線を示す赤方偏移3を越える天体であることを確認した。得られたデータから求めた銀河の物理量の比較をしたところ、これらの天体は若く、低金属量で、激しい星形成活動をおこなっていることが示唆された。また、ライマン連続光の生成効率が広く用いられている値よりも2倍程度以上高いことがわかった。
本研究において、極めて強い輝線を示す赤方偏移3を越える銀河を広帯域フィルターのデータのみによって選択できることを示した。狭帯域フィルターによるサーベイはその利点はあるものの、広帯域フィルターを用いた場合は一度に観測できる宇宙の体積がはるかに大きいため、相補的な手法を確立させた点で意義がある。また、これらの天体のライマン連続光の高い生成効率を再現するには、広く用いられている恒星種族合成モデルに対して修正が必要なことが示唆され、極端な天体を用いたことで理論についての制限を与えた点でも学術的意義がある。
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