研究課題
若手研究(B)
解像型大気チェレンコフ望遠鏡(IACT)を用いた宇宙線の電磁成分(電子とガンマ線)の検出感度を決める主因は、背景雑音となる宇宙線陽子の漏れ込み量である。次世代IACT計画CTAの南半球サイトの望遠鏡アレイに対してシミュレーションデータ生成を行い、4つのハドロン相互モデルを比較検証した結果、TeV領域では雑音頻度に2倍(100%)以上の差異があり、この差異はガンマ線の感度に30%程度の無視できない影響を与えることが分かった。これらの差異は主に中性パイ粒子の生成スペクトルの違いに起因するものであり、同時にIACTがハドロン相互作用モデルの検証に対して有力な検出器であることが示された。
宇宙線粒子の電荷数を直接測定できない間接測定実験にとって、二次粒子の情報のみから一次線の粒子種とエネルギーを再構築するためには、空気シャワーシミュレーションと実測が高精度で一致していることが要求される。現時点でシミュレーション中のハドロン相互作用の不定性は宇宙線化学組成の間接測定の精度に影響を与える重要な要素であり、加速器での検証実験も含めて相互作用モデルの改善がコミュニティ全体の取り組みとして続けられてきている。本研究の成果により、ガンマ線天文台として認知されているIACTがTeV領域でのハドロン相互作用の検証においても有力な検出器であり、重要な貢献が可能であることを示すことができた。
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