研究課題
若手研究(B)
宇宙から飛来する素粒子(宇宙線)のうち、殆どの成分は通常の物質を構成するものと同種の粒子である。一方、通常の粒子とは逆の電荷をもつ反粒子も僅かに存在する。希少なゆえに検出困難な反粒子を高精度で観測するため、新型シリコン検出器を開発した。これまでにない大口径と厚みを兼ね備えた検出器の製造法を確立した。さらに、反粒子観測をターゲットとした気球実験など飛翔体実験では、検出器の冷却システムなどへ割けるリソースが限られる。省電力冷却システムで達成できる比較高温な環境でもシリコン検出器を使用できるよう、高温でのノイズ抑制法を開発し、実証した。
宇宙線の反粒子は観測が難しいものの、生成過程が限られるため、暗黒物質など現代物理の重要課題を解決する手がかりになると注目されている。本研究で開発した新型シリコン検出器を用いて、新たな観測法を採用し、これまでにない精度で宇宙線反粒子を観測する気球実験が計画されている。新たな観測法はこれまでの磁場による反粒子識別と大きく異なり、原子核物理の応用により反粒子を検出する。本研究の成果は高性能な新型検出器を開発しただけでなく、新たな反粒子観測法の実用化とそれによる宇宙物理の解明の足掛かりとなるものである。
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