研究課題
若手研究(B)
本研究課題では多核金属錯体をベースに、フラストレートした局在d電子が導電カラムのπ電子と強く相互作用した導電性分子結晶を作成することで、新しい分子性スピントロニクス分野の開拓を目指して研究を行い、以下の成果を得た。① 巨大なπ平面をもち、酸化還元活性である新規12座架橋配位子H6hptpを合成し、様々な3核錯体の合成を行った。シアン化物配位子を軸位にもつ鉄3価3核錯体は、酸化によりdスピンと強く相互作用したπラジカルを生成し、導電性結晶の原料として好適であることが判明した。② 白金2価3核錯体(Vezes塩)をユニットにもつ種々の次元性錯体を合成し、その構造と気体吸着特性について研究を行った。
本研究は、これまで活発に研究されてきた金属多核錯体のユニークな磁気的物性を、分子性導体とカップリングさせることで、新しいスピントロニクス材料として利用することを目的として行った。結果的に電気電導を示す結晶は得られなかったものの、その構成素子として好適と目される、磁気構造と電気化学的物性をあわせもつ金属錯体を単離することに成功し、上記の目標達成に目処を付けることができた。将来的には本研究の成果を発展させることで、無機酸化物では不可能なユニークな磁気構造を金属多核錯体の合成技術により実現し、新規分子性機能材料のスピントロニクス分野への開拓・発展に貢献したいと考えている。
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すべて 雑誌論文 (18件) (うち国際共著 4件、 査読あり 18件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
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