研究課題
若手研究(B)
本研究では大脳皮質に軸索を投射する前脳基底部 GABA 作動性ニューロンに注目した。この神経細胞が注意時に活性化して体性感覚の検出能力を上昇させると仮説を立てた。まず体性感覚刺激-反応(舐める)-正の強化子(水)というオペラント条件づけを基礎として、持続的な注意が働く体性感覚検出課題を構築した。そして、体性感覚刺激の直前に音刺激を与え、体性感覚刺激への持続的注意を促した。続いて広視野2光子顕微鏡を開発した。マウス大脳皮質2/3層から10,000個以上の神経細胞を同時に記録した。本顕微鏡により、GABA作動性ニューロンがどれほど広範囲の大脳皮質神経細胞を抑制しているかを明らかにできるになった。
脳全体に投射する神経系として汎性投射系(セロトニン系、ドーパミン系、アセチルコリン系など)が知られている。汎性投射系はパーキンソン病、うつ病、アルツハイマー病などの精神疾患に関わるものが多く、薬物治療の標的となってきた。本研究では、大脳皮質全域に投射する前脳基底部のGABA作動性ニューロンに着目している。GABA作動性ニューロンは抑制性細胞の代表的な細胞である。従って、本研究で着目している細胞は大脳皮質全体の過剰な興奮を抑えることができる。このように本研究により精神疾患に関連する新しい汎性投射系を提唱する可能性を持ち、将来的には疾患研究に新しい枠組みをもたらす側面がある。
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