研究課題
若手研究(B)
本研究は、微量の生体試料中のO型糖鎖結合部位を網羅的に定量プロファイル解析する技術の開発に基づく、がん特異的O型糖鎖修飾タンパク質の同定を目的とした。O型糖鎖修飾部位を複数持つことが知られているモデルタンパク質を用いた実験では、非常に高い糖ペプチドの濃縮効率を達成し、未報告の新規O型糖鎖付加部位を複数同定することができた。さらにがん細胞抽出物を用いた解析では、ムチンやNF-κBなど、がんに関連する分子に実際にO型糖鎖修飾が起こっていることを確認した。
糖鎖のうちN型糖鎖は付加部位のコンセンサス配列や基幹構造と呼ばれる共通の基礎構造があり、全N型糖鎖を遊離可能な酵素PNGase-Fも知られているため比較的研究がよく進んでいる。しかし、O型糖鎖はこれらの規則、ツールが全て無く、従来法や最新の質量分析計を駆使しても単一タンパク質のO型糖鎖付加部位を決定することさえ困難な状況であった。本開発技術は、あらゆる生体サンプル中から網羅的にO型糖鎖付加部位の同定と付加頻度の定量化を一度の質量分析で同時に可能とする世界初の分析手法である。
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Analytical chemistry
巻: 91 号: 3 ページ: 2247-2247
10.1021/acs.analchem.8b04829