研究課題
若手研究(B)
本研究では、気管間充織細胞が上皮組織に向かって極性化するメカニズムの解明を試みた。in vitroの上皮組織と間充織細胞の共培養実験から、間充織細胞が上皮に向かって移動することが分かった。上皮由来因子が、間充織細胞の極性化を誘導する可能性が考えられたため、上皮由来の誘導因子と、間充織のシグナル伝達因子について検討を行った。その結果、上皮ではShh, Wnt4, 7bが高発現し、間充織のシグナルを活性化していることを発見した。また、間充織のWnt signalを遮断すると、極性化が阻害された。これらの結果は、上皮がWnt signalを介して間充織組織の極性、形態形成を調節することを示している。
正しい臓器形態の構築には、細胞の空間的位置づけ、即ち、極性が必須である。申請者らはマウス気管平滑筋細胞が極性化し、平滑筋の配列や気管伸長を調節することを報告にしている。これまで細胞極性の研究は上皮細胞を中心に展開されてきた。上皮細胞は、頂端-基底の極性や平面内極性を保持し、組織に非対称性を与える。対して、間充織細胞の方向性を定義する機構については知られていなかった。本研究成果は、これまで言及されなかった間充織の極性の制御機構を明らかにするものである。また、間充織の極性化は食道でも観察されたことから、本研究で得られた知見は、他の臓器形成機構の理解にも貢献することが期待される。
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Nat. Commun.
巻: 9 号: 1 ページ: 2816-2816
10.1038/s41467-018-05189-2
120006496738
Nature Communications
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10.1038/s41467-018-05043-5
https://www.bdr.riken.jp/jp/news/2018/research005.html
http://www.riken.jp/pr/press/2018/20180726_3/