研究課題
若手研究(B)
本研究は、ゲノムワイドな遺伝マーカーを用いることで、東南アジアにおけるアカゲザルとカニクイザルの自然交雑帯がいつ・どのように形成されたのかを推定した。結果、両種は共通祖先から分岐後、長期間の隔離を経て二次的に接触し交雑を起こした可能性が高いことが示された。多くの遺伝子座、とくにX染色体上の遺伝子座においては、従来認識されていた種の境界線付近で、急激にアリル頻度が変化していたが、一部の遺伝子座においては、アカゲザルタイプのアリルがクラ地峡を超えてカニクイザルの集団に広く浸透していることが明らかになった。
交雑帯の多地域のサンプルを対象にゲノムレベルでの解析を達成した本研究は、従来研究よりも詳細にアカゲザルとカニクイザルの交雑過程と遺伝子浸透のパターンを推定することができた。この成果は、ヒトを含めた霊長類の交雑とその帰結、生殖隔離と種分化のメカニズムを理解する上で役に立つと期待される。また、本研究で明らかにしたインドシナ半島の地域集団の集団構造と遺伝的多様性は、それらの保全の上でも重要な情報となる。
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Journal of Zoological Systematics and Evolutionary Research
巻: -
120006715529