研究課題/領域番号 |
17K15311
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
水圏生産科学
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
柳 蓉うん 愛媛大学, 南予水産研究センター, 助教(特定教員) (10643249)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2018-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2017年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2018年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2017年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 脂質代謝 / 増養殖 |
研究実績の概要 |
本研究では、水産有用魚種の栄養状態管理技術に繋がる基盤研究を目指して、栄養状態の変化による脂質代謝調節のメカニズムを細胞学的・組織学的に観察すると共に、それらに関わる重要因子の役割を分子生物学的・生化学的手法を用いて解析することにより「海産魚の脂質代謝機構」を究明することを目的とした。 まず、カタクチイワシを海産有用魚のモデル種として人為的な栄養制御を行い、それに伴う生理変化を観察した。飼育は、季節による差を確認するために、6~8月(夏群)と10~1月(冬群)に2回行い、肥満(日間給餌率8%)と欠乏(日間給餌率0.2~0.4%)の状態に調整した。 その結果、夏群では高水温期に肥満区の死亡増加および体重・肥満度の低下が見られたが、冬群ではより長い期間、高い肥満度を維持していることが確認できた。生殖腺体指数は、夏群で低下傾向にあったことに反して、冬群では増加傾向を示した。一方、内臓脂肪の蓄積は夏で高く、肝臓脂肪の蓄積は冬に高かった。血中栄養成分の濃度変化では、総タンパクが成長に伴い同様に低下したが、コレステロールは成熟の状態によって、トリグリセロールは栄養の状態によって大きい変動を示した。なお、肥満区では肝臓の大量脂肪蓄積による繊維化の病変が見られ、過度な給餌により代謝機能の異常が起こる可能性が示唆された。以上のように、高水温期では肥満度が高い程ダメージを受けやすく、成長へのエネルギー転換も悪くなることが推測された。一方、低水温期では高水温期に比べ成長へのエネルギー転換がよかったが、肥満区と対照区との成長差は認められなかったことから、過給餌の不要性が示された。今後は、多様な海産魚をモデルとして栄養状態の制御を行い、もっと詳細な解析を加えて行くことにより養殖魚の効率的な栄養調節技術の確立に寄与できると思われる。
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