研究課題
若手研究(B)
プロテインチロシンホスファターゼ(PTP)1Bのシステイン残基(Cys)が内在性活性酸素種(ROS)により酸化修飾されると,それに伴い上皮成長因子受容体(EGFR)が活性化する.大気汚染物質である9,10-フェナントラキノン(9,10-PQ)はレドックス活性を有するためROSを産生するが,PTP1B/EGFRシグナルを活性化するか不明であった.本研究では,9,10-PQ曝露によるROSがPTP1Bの酸化修飾を介してEGFRを活性化することを明らかにした.また,PTP1BのCysのパースルフィド化は,その可逆性を担保することで不可逆とされている過酸化からタンパク質を保護することが示唆された.
大気成分中には発がん物質など種々の芳香属炭化水素が含まれ,光酸化や生体内での代謝によりキノン体に変換される.キノン体は反応生が高く9,10-PQのようにレドックス活性を有する物質も多いため,環境化学物質によるROSが内在性ROSを模倣してPTP1B/EGFRシグナルに代表されるレドックスシグナルを活性化することを明らかにしたことは予防医学や毒性学において有用な知見といえよう.また,パーイオウ化されたシステイン残基の可逆性が明らかとなり,レドックスシグナル伝達において酸化だけでなくパーイオウ化の関与も検討すべき課題であるといえよう.
すべて 2020 2019 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 4件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 3件)
Sci Adv
巻: 6 号: 1 ページ: 8358-8358
10.1126/sciadv.aax8358
Redox Biology
巻: - ページ: 101475-101475
10.1016/j.redox.2020.101475
120007132623
Chemical Research in Toxicology
巻: 32 号: 4 ページ: 551-556
10.1021/acs.chemrestox.8b00158
巻: 30 号: 1 ページ: 203-219
10.1021/acs.chemrestox.6b00326
Free Radic Biol Med
巻: 104 ページ: 118-128
10.1016/j.freeradbiomed.2016.12.047
Scientific Report
巻: 7 号: 1 ページ: 4814-4814
10.1038/s41598-017-04590-z
120007128910