研究実績の概要 |
KCNQ1のG589D変異体はYotiaoとの相互作用が消出する報告があるが、我々の実験系(HEK293T、KCNQ1+KCNE1+Yotiao強制発現, DynabeadsによるcoIP)では再現されなかった。そこで、KCNQ1の部分的欠損変異体(ΔhelixD, ΔhelixB-D, ΔhelixA-D, ΔN末端=isoform2に相当)を作製し、YotiaoとのcoIPを試みた結果、すべての欠損変異体で相互作用は失われなかった。さらに、IKsチャネルが膜に存在する際に細胞質側に位置するS2-S3、S4-S5領域のアミノ酸を6Xグリシンに置換した変異体についても検証したところ、KCNQ1-Yotiao相互作用は同様に失われることがなかった。これらの結果より、KCNQ1-Yotiao相互作用には複数の領域のアミノ酸が関わり、どれか1つをつぶしても影響が小さいことが考えられる。また、KCNE1も含めたIKsチャネル複合体は細胞膜上でのみ形成されるのか、膜移行前に形成されるのかも不明であり、今後の解析が待たれる。一方、KCNQ1のC末端helixD領域のアミノ酸置換は軒並み膜移行能が失われるが、それ以外の領域のアミノ酸も膜移行に関わることが多数報告されている。代表者は、KCNQ1の膜移行に関わる因子を同定するために、KCNQ1のシャトリングに関わるRab11ファミリーのsiRNA(silencer select, validated)によるノックダウンを試みた。これらのsiRNAは強制発現させたRab11を完全にノックダウンできることを確認した。驚くべきことにRab11をノックダウンした細胞では、KCNQ1の膜移行がわずかながら増加する結果が得られた。この結果から、KCNQ1の膜移行を亢進する因子があるとすれば、それがRab11によって抑制されていることが考えられる。
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