研究課題
若手研究(B)
本研究では、加齢性肥満発症の原因の一つとして考えられる代謝量低下のメカニズムを、視床下部におけるメラノコルチン4型受容体(MC4R)に着目して解析した。In vivo生理実験の結果、皮膚冷却に対する褐色脂肪の熱産生量が加齢と共に減少することを明らかにした。褐色脂肪の熱産生を制御する視床下部背内側部にはMC4Rが発現している。MC4Rのアゴニスト投与時の褐色脂肪熱産生量を解析すると、アゴニストに対する応答性が加齢と共に低下することが分かった。免疫染色の結果、加齢と共にMC4Rの局在が変化しており、それによりメラノコルチンに対する応答性が変化し、代謝量が減少する可能性が示された。
飽食と高齢化が進む現代において、加齢による肥満の発症機構の解明は重要な課題である。加齢性肥満の発症の原因の一つとして代謝量の減少が考えられるが、加齢による代謝量の低下メカニズムは明らかにされていない。本研究によってMC4Rを介した摂食・代謝調節機構が加齢によって変化するメカニズムを分子レベルで解明することが出来れば、これまでに考えられていなかった新しい肥満発症機構の提示につながるだけでなく、MC4Rの局在の制御を通じた画期的な肥満予防法や治療法の開発に寄与できると考える。
すべて 2020 2019 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Hum Genet
巻: 140 号: 2 ページ: 277-287
10.1007/s00439-020-02198-4