研究課題
若手研究(B)
マウスの皮膚をモデルとして用い、環境因子、特に肥満がどのように皮膚の恒常性維持に影響を与えるかを調べた。マウスの毛包はヒトと同じく加齢によりその数が減少するが、肥満状態で毛周期が回ればより早く毛包の減少が誘発されることがわかった。直接艇には毛包幹細胞が表皮ケラチノサイトへと細胞運命を転換することが減少の原因となることがわかった。内的因子の変化としては、肥満環境ではIL1Rシグナルの活性化や脂質の蓄積が毛包幹細胞内で生じ、これが原因となり毛包幹細胞の維持に必須のSHHシグナルが活性化されなくなる。本研究では肥満という全身性の変化から脱毛に至るプロセスの全容が明らかになった。
組織や臓器は加齢によってその機能が低下し、最終的には個体の死に繋がる。加齢による組織の機能低下は避けられないものであるが、その仕組みの理解は治療や新規薬剤の可能性を生み出し、健康寿命の延伸へとつながることが期待される。昨今特に先進国で深刻な問題となっている肥満は、特定の臓器でがんを誘発するなど様々な疾患のリスクファクターとなることが知られている。本研究では毛包を組織のモデルとし、肥満がいかに毛包の維持に有害か、その詳細な因子・メカニズムについて明らかにした。本研究は環境因子が組織の恒常性維持に与える影響を明らかにするとともに、脱毛予防や治療に対する新たな戦略を創造した。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件)
Nature
巻: -
巻: 568(7752) 号: 7752 ページ: 344-350
10.1038/s41586-019-1085-7
Biochem Biophys Res Commun.
巻: 印刷中 号: 4 ページ: 893-897
10.1016/j.bbrc.2018.05.071