研究課題
若手研究(B)
我々は脳梗塞慢性期における獲得免疫系の意義について解析を行った。慢性炎症の制御と脳神経系の関連はほとんど解明されていない。我々は脳梗塞発症後2週間以上を経過したマウスの脳内には急性期よりもはるかに多くのT細胞が浸潤しており、特に制御性T細胞 (Treg) が大量に蓄積することを明らかにした。脳TregはCCL1、CCL20依存的に浸潤し、TCR認識・IL-2・IL-33・セロトニン依存的に増殖し、他の組織Tregとは違ったフェノタイプを示していた。この脳Tregは組織修復に関与するAmphiregulinを発現することよってアストロサイトのグリオーシスや神経傷害を制御することを明らかにした。
脳梗塞モデルマウスを用いて、脳梗塞慢性期には獲得免疫を担うリンパ球の一種である制御性T細胞(Tレグ)が大量に梗塞部位に集積し、神経修復過程を制御していることを発見した。この脳Tレグは他の組織に存在するTレグと異なり神経系に特徴的なセロトニン受容体を有しており、セロトニンによって増殖・活性化することがわかった。脳梗塞モデルマウスにセロトニンや脳内のセロトニンを増やす薬(抗うつ薬の一種)を投与したところ、脳Tレグが増加し神経症状が改善した。脳梗塞患者においても脳内セロトニンに作用する抗うつ薬が、脳梗塞の慢性期(リハビリ期)の治療に役立つことが期待される。
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