研究課題
若手研究(B)
我々は神経障害性疼痛発症の機序にパターン認識受容体(PRR)のひとつであるMincle (Macrophage-inducible C-type lectin)が関与する可能性を検証し、Mincle KOマウスで神経障害性疼痛が起こらない事、神経切断部位でMincle mRNAの発現が増加する事を見出した。また、神経障害部位においてMincleを発現する細胞は好中球、もしくはその他の免疫細胞である可能性を示した。本年度は以下の検討を行った。神経切断部位での免疫細胞(好中球、単球/マクロファージ)の遊走にMincleが関与するのかをフローサイトメトリーで調べた結果、Mincle KOでもWTと同様な遊走がみられた。この結果から、遊走免疫細胞に発現するMincleの下流で起こる遺伝子発現の変化が神経障害性疼痛に関与する可能性が示唆された。そこで神経組織における疼痛関連遺伝子の発現をreal-time PCR法を用いて測定すると、後根神経節のTnfa、脊髄後角のIrf5発現上昇がMincle KOで有意に抑制されており、Mincleはこれらの遺伝子発現の変化を介して神経障害性疼痛に関与する可能性が示唆された。次にMincle発現の上流シグナルについて検討した。Toll様受容体(TLR)活性化シグナルによりMincleが誘導されることが知られており、神経障害性疼痛モデルの障害神経におけるMincle遺伝子発現もTLRシグナル依存的なのかを調べた。これには多くのTLRのアダプター分子であるmyeloid differentiation factor88(MyD88)KOマウスを用いた。MyD88 KOマウスの障害神経では、MincleのmRNAの発現上昇はWTと比較して有意に抑制されており、好中球の遊走も阻害されていた。神経障害性疼痛モデルにおいても、Mincle発現にTLRシグナルが関与することが明らかとなった。
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Scientific Reports
巻: 9 号: 1 ページ: 872-872
10.1038/s41598-018-37318-8