研究課題
若手研究(B)
胃表層上皮で遺伝子改変を起こすTff1-Creマウスを用いて、胃化成性変化のマウスモデルを作成した。Tff1-Cre;LSL-KrasG12Dマウスでは、萎縮、過形成、偽幽門腺化成を認め、既報のKrasによる化成性変化モデルに一致する結果であった。Tff1-Cre;Pten f/fマウスでも類似した組織像を認め、免疫組織化学によりERKのリン酸化を認めたことから、化成性変化発生におけるRAS-MAPKの重要性が示唆された。Tff1-Cre;Cdh1 f/fマウスでは、上皮の剥脱と再生成変化を認めるが、次第に扁平上皮が腺上皮を置換していき、扁平上皮仮性のモデルとなると考えられた。
既報では、胃の仮性性変化は腺底部の成熟した主細胞が起源であり、分化転換によって生じるとされてきた。Tff1-Creマウスでは主として腺管の表層部で遺伝子改変が起こるため、仮性性変化は表層部から、おそらくは狭部の組織幹細胞から生じたものと考えられた。本研究は、胃の化成性変化発生メカニズムの新たな側面を示唆するものと考えられた。また、扁平上皮仮性のモデルはこれまで報告がないユニークなものであり、扁平上皮と腺上皮の境界が競合によって定まるるという「競合モデル」を支持するものと考えられた。
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Journal of Pathology
巻: 247 号: 1 ページ: 35-47
10.1002/path.5163