研究課題
若手研究(B)
タンパク質に翻訳されないマイクロRNA(miR)は、短いRNAであり、遺伝子発現を精巧に調節する。マウスを用いた研究からmiR-33aがHDL-Cを低下させ、動脈硬化に関わることが明らかとなってきたが、ヒトにはこれに加えてmiR-33bが存在し、その生体機能はこれまで不明であった。今回、この miR-33bが、動脈硬化症において役割を果たしていることを明らかにした。動脈硬化モデルを用いて調べたところ、miR-33bが、HDLコレステロール合成や炎症形成に関わり動脈硬化発症・進展を増悪させた。これらの結果から、miR-33bは新規治療標的になりうると示唆される。
動脈硬化症は心血管疾患の主因の一つである。現在の治療法は、高血圧・脂質代謝異常・耐糖能異常等の危険因子への介入である。超高齢化社会である我が国では未だ心血管疾患は主要な死因であり、新規予防法・治療法の開発が不可欠である。特に、HDL-コレステロールの増加や、慢性炎症の抑制を目指す治療法が期待されるものの詳細な分子機構が未解明であり、実現に至っていない。今回内在性の小さなRNAの一つ、miR-33bがHDL-コレステロール合成やその機能、また炎症細胞を介して炎症形成に重要であること、結果的に動脈硬化を進展させることを明らかとした。今後、miR-33bの抑制が新たな動脈硬化治療法として期待される。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件) 備考 (2件)
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