研究課題
若手研究(B)
EGFR遺伝子変異陽性肺癌は、「アジア人、女性、非喫煙者」に多く、遺伝学的背景が示唆されている。その機序を明らかにすることを目的として、3家系の患者8人、家系内未発症者2人および健常者2人の計12人に対して、末梢血DNAを用いたエクソーム解析を行った。その中で、チロシンキナーゼ受容体の一つであるMETに新規遺伝子異常(N375K)があることに着目した。その結果、この遺伝子変異によりMETとそのリガンドである肝細胞増殖因子 (HGF)との親和性が極端に低下することで、METがもたらす細胞の増殖能、遊走能、浸潤能が抑制された。またこの遺伝子変異により、EGFRの下流シグナルも抑制された。
EGFR遺伝子変異陽性肺癌は,チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)によって制御可能な癌と捉えられるようになった。一方で、肺腺癌の約25%がEGFR-TKIに自然耐性を示すとされ、かつ奏功症例においてもその大半が1年程度で耐性を獲得して再発することが知られており、実臨床の場において耐性化の克服が喫緊の課題となっている。今回、EGFR遺伝子変異陽性肺癌の家族例に対してゲノム解析を行うことで、その責任遺伝子異常の同定を試みた。今後さらに研究をすすめることで責任遺伝子が明らかとなれば,①新しい治療標的を創出できるだけでなく、②採血するだけの非侵襲的な検査で③発症リスクの評価が可能となる。
すべて 2019 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件)
New England Journal of Medicine
巻: 381 号: 10 ページ: 923-932
10.1056/nejmoa1816216
120007087887
Cancer Sci
巻: 印刷中 号: 6 ページ: 1263-1270
10.1111/cas.13233