研究課題
若手研究(B)
申請者らの研究グループは、2015年にT細胞受容体α鎖及びγ鎖領域に存在するゲノム構造異常が多発性硬化症(MS)疾患感受性を著しく高めることを報告しており、近年MS動物モデルにおける重要な役割が明らかとなってきたγδ型T細胞に着目して本研究を立案した。私たちは、まずヒト末梢血単核細胞をγδ型T細胞、αβ型T細胞、B細胞などの表面抗原、サイトカイン産生を幅広く評価できる実験系を確立した。そして、九州大学病院神経内科でフォローしているMS患者のうち、無治療で寛解期のMS群と健常対象(HC)群でサンプルを収集し、最終的にMS群33名、年齢・性別をマッチさせたHC群22名を対象として分析した。その結果、MS群はHC群と比較してCD4+T細胞中のTreg (CD25+CD127low/-)頻度が低下していた。γδ型T細胞では、MS群はVδ2+、Vδ2+Vγ9+γδ型T細胞、IL-17A+、IFN-γ+、IL-17A+IFN-γ+Vδ2+γδ型T細胞の頻度が低下し、Vδ1+γδ型T細胞の頻度とVδ1/Vδ2比が増加していることを発見した。B細胞サブセットには両群で有意な差はなかった。HC群ではVδ1/Vδ2比がTreg頻度と有意に負相関していたが(r = -0.5927, p = 0.0037)、MS群では関連が消失していた。MS群のVδ1/Vδ2比は障害度スコアExpanded Disability Status Scaleと高度に正相関した(r = 0.5219, p = 0.018)。以上のように、MSにおけるVδ2+Vγ9+γδ型T細胞の著減、Vδ1/Vδ2比とMS身体障害度の強い正相関、健常者で認めるγδ型T細胞とTregとの有意な関連の喪失がMS病態悪化に寄与している可能性を世界で初めて示し、Frontiers in Immunology誌にその成果を報告した。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (21件) (うち国際学会 9件)
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