研究課題
若手研究(B)
腫瘍壊死因子のひとつであるTNFαは、肥満や糖尿病におけるインスリン抵抗性を惹起する。TNFαの産生は、メタロプロテアーゼ(蛋白切断酵素)によって調節されている。本研究では、肥満・糖尿病状態の内臓脂肪組織でどのようなメタロプロテアーゼが活性化しているかを検討した。肥満・糖尿病状態では、メタロプロテアーゼの少なくとも一部が内臓脂肪組織で活性化しており、それらは炎症によって制御を受けていた。また、カロリー制限や阻害薬によって炎症を抑制することでメタロプロテアーゼの活性化およびTNFαの産生が抑制された。これらの結果は、インスリン抵抗性の治療戦略につながると考えられた。
現在まで、肥満や糖尿病におけるインスリン抵抗性発症に蛋白切断酵素であるメタロプロテアーゼが関与するかを検討した研究は少ない。本研究では、メタロプロテアーゼの少なくとも一部が糖尿病状態で活性化していること、それが炎症により制御を受けていることを証明した。この研究成果は、インスリン抵抗性、糖尿病および合併症の発症や進展といったあらゆる段階での治療にメタロプロテアーゼの制御が有用である可能性を示している。本研究の成果が、メタロプロテアーゼの制御を主眼とした全く新たな糖尿病治療薬の創薬につながっていくと期待している。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology
巻: 印刷中 号: 5 ページ: 994-1006
10.1161/atvbaha.117.310320