研究課題
若手研究(B)
これまでの研究によりCNPが肥満改善作用を有することを見出したので、本年度は、脂質および糖代謝において中心的役割を果たす肝臓での疾患に焦点を当てた(非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪肝炎(NASH))。具体的には、まず、肥満で誘導されるNAFLDにおいて、脂肪細胞と血管内皮細胞で特異的にCNPを特異的過剰発現するマウス(A-CNP Tg, E-CNP Tg)における作用を調べた。その結果、A-CNP Tg マウスは高脂肪食を5週間摂取すると、肝臓での抗炎症作用が確認され、また、E-CNP Tg マウスは 高脂肪食を15週間摂取すると、肝臓の重量、脂質合成抑制、脂質酸化亢進による脂肪蓄積量減少作用、抗炎症作用を呈した。この結果は、血管内皮細胞由来CNPのNAFLDの改善作用を示している。一方、NASHは、NFLDの中でも、肝臓の炎症と繊維化を伴った進行型の病態であること、上述のCNPのNAFLD改善作用やCNPの有する抗線維化作用から、CNPのNASH病態改善作用を予想し検討を開始した。 NASHは肥満、糖尿病などのメタボリックシンドロームを背景として引き起こされることが多く、肝臓の炎症、繊維化、インスリン抵抗性を示す病態である。実験では、高脂肪食誘導性およびコリン欠損食誘導性NASHモデルにおけるE-CNP Tg マウスの表現型を解析した。その結果、25週間、高脂肪食を摂取してNASHを誘導したE-CNP Tgマウスにおける、肝臓での抗炎症作用、抗繊維化作用、インスリン抵抗性改善作用を明らかにした。また、コリン欠損食(10 週間)誘導性NASHモデルにおいては、E-CNP Tg マウスは血中での炎症と糖代謝の改善作用を示した。本研究では、血管内皮細胞由来のCNPが高脂肪食誘導性NASHモデルにおいて、肝臓での抗炎症や抗繊維化作用、インスリン抵抗性改善作用を明らかにし、CNPの肥満及びそれに関連疾患に対する治療標的としての可能性が示唆された。
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Scientific Reports
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