研究課題
若手研究(B)
自閉症スペクトラム障害を併発しやすい神経線維腫症1型(NF1)は、アデニルシクラーゼ(AC)の機能低下が病因の一つであるが、その詳細は明らかでない。AC活性化剤であるフォルスコリン(FSK)が、NF1患者由来の直接誘導神経(NF1-iN)細胞の遺伝子発現パターンを救済することを明らかにした(Sagata et al., 2017)。またFSKが、扁平なNF1-iN細胞を球形の形態へと劇的に変化させ、神経突起伸長も増強した。FSKまたはAC活性化剤が、NF1患者の神経細胞の成長に治療効果をもたらす可能性を示した(Sagata et al., 2020 (in Press))。
自閉症スペクトラム障害(ASD)や学習障害などの神経発達障害と併存することがよくある神経線維腫症1型(NF1)に着目し、NF1患者由来の直接誘導神経(NF1-iN)細胞にみられた遺伝子発現異常および細胞の形態異常がフォルスコリンによって明らかな改善を示すことを明らかにした。生検等では得られないヒトの神経細胞を線維芽細胞から誘導したiN細胞を利用し、細胞レベルでの解析を行うことによって薬剤の効果を比較的容易に評価する一つの手法を提示しつつ、フォルスコリンなどのアデニルシクラーゼ活性化剤のNF1ひいてはASDを含む神経発達障害の治療薬・予防薬としての可能性を示した。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Sci Rep.
巻: 7 号: 1 ページ: 13905-13905
10.1038/s41598-017-14440-7