研究実績の概要 |
本研究は、MRIを用いた早期慢性膵炎の診断を目指す。当初は特にIntravoxel incoherent motion (IVIM)に着目して研究を行った。IVIMは組織の拡散係数と同時に、灌流が定量できる撮像法である。早期慢性膵炎群、慢性膵炎群、慢性膵炎の兆候のないcontrol群において、IVIMを撮像し、膵実質のperfusion fraction(f),pseudo-diffusion coefficient(D*), true diffusion coefficient (D),apparent diffusion coefficient(ADC)を測定した。これらのパラメーターをこれらの患者群で比較した (one-way analysis of variance with Tukey's honest significant difference post-hoc tests)。結果、f値は早期慢性膵炎群および慢性膵炎群で、control群と比較して有意に低値であった。D*値は、慢性膵炎群で、早期慢性膵炎群と比較して有意に低値であった。D値は、早期慢性膵炎群、慢性膵炎群で、control群と比較して有意に高値であった。ROC解析では、control群と、早期慢性膵炎+慢性膵炎群の鑑別に最も有用なパラメーターはf値であった。IVIM MRIが早期慢性膵炎の診断に有用である可能性が示唆された。 平成30年度には、以上の結果に基づき論文作成を行い、現在論文投稿中である。他のパラメーターにも着目して研究を行う予定であったが、海外留学のために研究を中止した。
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