研究課題
若手研究(B)
古細菌由来のタンパクから成るナノ粒子を用いた可変型ドラッグデリバリーシステム(DDS)を使い、ガドリニウムMRI造影剤を結合させてルシフェラーゼ発現膵癌自然発癌マウス(KPCLマウス)での腫瘍微小環境を含めた体内分布を観察した。このDDSは容易に粒子サイズを調整することができ、DDSのサイズによって異なる分布、集積を示したことから、より効果的なDDSのサイズを見出すことができた。また、膵癌の高い治療抵抗性の原因の一つと考えられている豊富な間質組織を、一部ではDDSが貫通している様子が観察され、造影剤としてのみならず、治療薬のDDSキャリアとしても有用である可能性が示唆された。
本研究は治療抵抗性の高い膵癌における有望な治療戦略の一つであるドラッグデリバリーシステム(DDS)に関して、特に腫瘍微小環境を含めた腫瘍内分布を解析し、DDSの可変性を利用して腫瘍内分布の不均一性を改善して治療効果を向上させることを目的として行った。膵癌自然発癌マウスを用いた実験結果から、より効果的なDDSのサイズを見出すことができ、またDDSが膵癌の治療抵抗性の主な原因の一つである豊富な間質を貫いて腫瘍に到達していることが確認できた。これらの結果から、このDDSを治療薬に用いることで膵癌の治療成績向上が期待できる。
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Cancer Letters
巻: 412 ページ: 143-154
10.1016/j.canlet.2017.10.010