研究課題
若手研究(B)
KPCマウス及び脾注肝転移モデルを用いた研究により、肝転移部の癌細胞周囲に癌関連繊維芽細胞(CAF)が集簇しており、CAFが転移形成促進的な微小環境を形成していることが示唆された。更にCAFに先立って好中球が集簇していることに着目し、好中球のNeutrophil extracellular traps (NETs)と呼ばれる機構が肝転移形成に促進的に働くことを見出した。また、癌細胞のCD110発現が亢進しているものでは有意に肝転移が増加していた。これらの結果から、膵癌の微小肝転移形成に促進的に働く因子として、宿主側ではCAFと好中球が、癌側ではCD110の発現が関与していることが示唆された。
固形癌の多くは、進行すると遠隔臓器への転移をきたして致命的となることが多い。中でも膵癌は5年生存率が10%に満たず、その治療成績改善は急務である。膵癌の進行過程において、肝転移をはじめとした遠隔転移の形成は非常に重要な局面であり、転移形成を制御することができれば、予後改善のための大きな一歩となり得る。本研究では膵癌の肝転移におけるごく初期段階に関する詳細な検討を行い、宿主側と癌側での新たな促進因子を見出すことができた。これらの結果は、今後の膵癌の治療成績向上に繋がると考えられる。
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