研究課題
若手研究(B)
本研究はグリオーマに対して術中抗体療法を確立することが目的である。イソクエンサンデヒドロゲナーゼ(IDH1) R132H変異グリオーマ細胞株2株、IDH1変異抗体4種類を用いてフローサイトメトリーを行った所、10―20%程度、弱陽性細胞を認めたのみで、近赤外線光線免疫療法(NIR-PIT)には適さないと思われた。IDH1変異蛋白は腫瘍細胞に細胞質に発現し、細胞膜には発現しないからと考えた。次に、悪性グリオーマで高率に発現する膜貫通蛋白であるポドプラニンに着目し、ポドプラニンを発現する膠芽腫細胞株2株はポドプラニン抗体4種類に対してほぼ100%陽性反応を認め、NIR-PITの良い候補と考えた。
悪性神経膠腫は極めて予後の悪い脳腫瘍であり、その治療法の確立は急務である。周囲脳に細胞が浸潤し、手術で取り切れない。本研究は悪性神経膠腫に対して、近赤外線光線免疫療法(NIR-PIT)という、腫瘍細胞の表面抗原を標的し腫瘍細胞のみを破壊する抗原特異的免疫療法の確立を目指した。腫瘍特異抗体を蛍光標識することで術中の残存腫瘍の評価にも利用できることから、NIR-PITの実現は神経膠腫に革命的な治療の進歩をもたらす可能性を秘めている。細胞表面ではなく細胞質に発現するIDH1抗体によるNIR-PITは上手く行かなかったが、その後、ポドプラニンという細胞膜蛋白に対するNIR-PITの有効性が示唆された。
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