研究課題
若手研究(B)
マウスを用いてATP膀胱還流を行い、膀胱内圧測定法を用いて排尿機能評価を行ったところ、ATP膀胱還流は排尿間隔を短縮させた。膀胱超音波検査を用いて最大膀胱容量と残尿量を評価したところ、ATP膀胱還流は最大膀胱容量を低下させたが、残尿量には変化を認めなかった。膀胱求心性神経の入力部である脊髄L6で神経活動マーカーc-Fosの発現解析を行ったところc-Fos陽性細胞数は増加した。ATP受容体アンタゴニストを膀胱還流すると、ATPによる排尿間隔の短縮とc-Fos陽性細胞数の増加は抑制された。神経トレーサーを用いてc-Fos陽性細胞を観察したところ、膀胱求心性神経に一部連続していた。
膀胱内腔のATPが発生させる神経シグナルは、膀胱求心性神経を活性化させて排尿反射を亢進し、頻尿をきたすことが明らかとなった。過活動膀胱患者の尿中ATP濃度は健常者と比較し高値であることが報告されており、本研究結果を踏まえると、膀胱内腔のATPが頻尿症状に関与している可能性が示唆される。以上より、膀胱内腔のATPを制御することが過活動膀胱などの尿中ATPが増加する頻尿疾患の新規治療法になる可能性が示唆された。
すべて 2018
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Biochem Biophys Res Commun
巻: 506 号: 3 ページ: 498-503
10.1016/j.bbrc.2018.10.106