配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2018年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2017年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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研究実績の概要 |
本研究では体外受精における成功・不成功を予知する母体側の分子診断マーカーの開発を目指した。体外受精の成功・不成功の患者群において、患者の侵襲の少ない検体を用いて解析することは重要である。我々は頸管粘液に分泌されるmiRNAの発現の違いが上記分子診断マーカーの候補になるのではないかと考えた。そこで、体外受精後に、結果的に妊娠した5例と妊娠しなかった8例の採卵時の検体を用い、マイクロアレイにて網羅的miRNAの解析を行った。その結果20種類のmiRNAが抽出された。そのなかで特に両群間で得られた発現レベルの値の差が大きいmiR-376a-3p,-6739-3p,-4648はそれぞれ、妊娠群を1とした場合に、18.3,9.6,5.2倍の値を示した。この3種のmiRNAについてはrealtime RT-PCR法でその発現量を解析したところ、それぞれ、妊娠時に比べ、3.2,3,6,1,3倍の値を示し、マイクロアレイの結果を裏付ける結果となった。そこで、この3種のmiRNAの共通ターゲットを探索するためにin silico解析を行ったところ、42種類の標的タンパク分子が挙げられた。そのなかで、特に接着や着床に関連があるIGF1R,BMPR2,PALG1が候補として挙げられた。そこで、これらについて妊娠、非妊娠患者の多数検体を用い、realtime RT-PCR法を用いて両群間で発現の違いを検討した。しかしながら、いずれの分子においても妊娠と非妊娠群では遺伝子発現レベルの差を認めなかった。このことは今回選択されたmiRNAは遺伝子発現調節の段階でなく、翻訳の段階で調節している可能性を示唆している。今後はタンパクレベルでの解析が必要と示唆された。この研究から、接着・着床に関連すると思われる分子が発現の差があるタンパクとして候補に挙げられてきたことは意義深い。
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