研究課題
若手研究(B)
ジカウイルスはアフリカ株とアジア株とに大別される。これまでに世界各地で大流行を引き起こしたものはいずれもアジア株であるため、我々はアジア株はアフリカ株に比べて高い病原性を有するという仮説のもと、アジア株の病原性を規定する因子の同定を試みた。ところが、細胞実験およびマウスを用いた実験において、アフリカ株はアジア株に比べて高い病原性を示すことが明らかになった。また、人工ウイルス粒子SRIPsを用いて侵入能を評価すると、アフリカ株がアジア株に比べて高いことが示された。さらに、キメラSRIPsを用いた実験で、アフリカ株のエンベロープC末端領域が侵入能に重要であることが証明された。
ギランバレー症候群や小頭症の発症にジカウイルスが関連することが明らかになり、大きな社会問題となっているが、有効な治療薬やワクチンは未だ確立されていない。本研究では、当初の予想に反してジカウイルスアフリカ株がアジア株に比べて高い病原性と細胞侵入能を有することが証明された。これは、ジカウイルスアフリカ株がヒトに対しても強い病原性を有することを示唆するものであり、感染対策を講ずる上での重要な知見である。また、アフリカ株の高い細胞侵入能を規定するエンベロープタンパク質領域の絞り込みは、病原性を規定する因子を同定するための重要な手掛かりであり、今後の分子標的薬の開発に貢献するものと考えられる。
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