研究成果の概要 |
タンパク質アルギニンメチル基転移酵素(Protein arginine methyltransferases; PRMT)5の口腔扁平上皮癌(OSCC)における役割を, 上皮異形成, 上皮内癌症例を含めて免疫組織学的に検討した. 上皮異形成では, 異型細胞の細胞質主体に正常上皮に比して強く染色される陽性細胞を認めた. OSCCの胞巣中心部では, 細胞質に局在するのに対して, 浸潤先進部では核と細胞質に局在していた. また, 先進部が胞巣状の症例では, 細胞質に局在する一方で, 紡錘形ないしびまん性の症例では, 核と細胞質に局在し, 上皮間葉移行(EMT)マーカーの発現とも相関した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
PRMT5は上皮異形成の段階から発現が正常組織に比して増加し, OSCCの浸潤先進部における細胞質から核と細胞質への局在の変化には, EMTが関与することが示唆された. すなわち, PRMT5はOSCCにおける病態形成初期から関与し, 局在の相違は悪性度や浸潤様式に関与することが明らかにされ, その機構の解析が今後の検討課題とされた.
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