研究課題
若手研究(B)
現在の歯科臨床においては過酸化尿素などを用いた化学的漂白法が用いられており、効果において高い安定性を保っている。しかし、薬液による知覚過敏様症状や化学薬品を用いるため生体組織への為害性に関してはまだまだ解決する必要がある。本研究では、特に加齢に伴う象牙質変色に着目し、象牙質コラーゲン線維の糖化により産生され褐色化の原因および詳細なメカニズムが分かっていなかった加齢に伴う象牙質の変色と、最新のアプタマー分子を用いた色素除去方法を模索するところに重点を置いていた本研究にて、既成の漂白法およびアプタマーを用いた色素除去法が糖化された象牙質コラーゲン線維に及ぼす影響を明らかにし、化学薬品を用いない漂白法が確立され糖化修飾部位を除去することができれば、歯の老化に対する変色や歯質の脆性化といった予防方法の開発を行うことができる。本研究計画は、当初3年間とし象牙質変色の原因物質の特定およびアプタマーの同定を行い、アプタマーペプチドの象牙質への影響を多面的に評価を行うことを目的とし以下の手法を用いて、象牙質におけるAGEsに関連した色調変化の評価と新規漂白法の基盤となる研究を進める予定として当初の計画を立てた。1)免疫組織化学染色法および電子顕微鏡法によるAGEsの局在に関する形態学的評価、2)HPLC及びウェスタンブロッティングにて漂白により除去されたAGEs架橋の種類の同定、3)ナノインデンテーション装置を用いた象牙質コラーゲン線維の物性評価、4)象牙質コラーゲンに関連したAGEsに選択的に結合するアプタマーの同定初年度においては、象牙質内におけるAGEsの局在の確認および漂白によりAGEsが抗原性を失うことの確認が出来た。またナノインデンテーションによる表面検出手法の画一化に目処を立てた。