研究課題
若手研究(B)
結紮誘導歯周炎は結紮3日後から歯槽骨の破壊を呈し、急速な歯周組織破壊を認めた。結紮したマウス歯肉組織のRNAシーケンス解析により、78個の発現変動遺伝子(DEGs)を同定した。発現上昇していたDEGsに対するGO解析より、免疫応答、結合組織代謝に注目し、定量的PCRを行なったところ、S100a8 mRNAの顕著な発現上昇を認めた。傷害関連分子パターン(DAMPs)であるS100A8は、接合上皮に限局して発現しており、結紮による歯周組織の破壊に伴い、接合上皮におけるS100A8の発現の増加、結合組織内の発現が確認された。急速な歯周組織破壊にDAMPsであるS100A8の関与が示唆された。
本研究の結果より、急速な歯周組織破壊において、傷害関連分子パターンであるS100A8の関与が認められた。かねてより歯周組織の破壊は不定期かつ不規則に進行する(Random Burst Theory)とされていたが、本研究の結果より急速に進行する歯周炎のメカニズムの一端が解明された。今後、侵襲性歯周炎のような急速な歯周組織の破壊を伴う若い患者に対する、新たな治療のターゲットとなる可能性が示唆された。
すべて 2017
すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)