研究課題
若手研究(B)
褥瘡や糖尿病性解体潰瘍のような慢性創傷の約90%に細菌感染が関与しているとされており、中でも緑膿菌は慢性創傷からよく分離され、慢性創傷における治癒遅延の原因と考えられている。本研究では、創傷治癒や緑膿菌排除に重要な役割をもつ自然免疫リンパ球の一つ、NKT細胞に注目し、解析を行った。本研究において、NKT細胞は再上皮化率、緑膿菌排除を促進することが明らかとなった。その機序にはIL-17A産生の増加による好中球集積や抗菌ペプチドの産生増加が関わっている可能性が示された。
これまで、リンパ球が創傷治癒促進に関わることは報告されているが、感染および貪食細胞に対する機能は評価されていない。また、感染によるバイオフィルム産生に対する研究は抗菌薬による細菌数減少に主眼が置かれ、リンパ球機能など宿主側の要因については殆ど明らかになっていない。本研究により、リンパ球の一種NKT細胞が緑膿菌接種創の創傷治癒と菌排除を促進することが明らかとなり、リンパ球機能に着目した新しいケア技術の確立につながる可能性を示した。
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