研究課題
若手研究(B)
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、労作時の呼吸困難感から運動耐容能が低下する。運動耐容能の評価には、6分間歩行試験 (6MWT) が広く利用されているが、近年、同試験中の歩行距離以外に持続的なバイタルサインの測定が推奨されるようになっている。しかし、簡便な測定法がないため6MWTでの呼吸数がどのような変化を示すのか、運動耐容能との関連を調べた研究は殆どない。本研究はウェアラブルセンサを用いた呼吸数計測システムを開発し、COPD患者においての時間内歩行試験でも呼吸数の測定に成功した。呼吸数は、COPD患者においてのみ運動耐容能と有意に関連しており、同疾患の新たな特徴となる可能性が示唆された。
本研究では運動時においてもマスクを用いず簡便に正確な呼吸数の計測を可能とした。また臨床で用いられる時間内歩行試験でCOPD患者を対象に高い計測の精度を示した成果はほとんど報告されていない。また、本研究で開発したシステムは無線・軽量な特徴を持つため、移動を伴う時間内歩行試験だけではなく、今後は在宅場面やADL動作時においても利用できる可能性が高い。今後、本研究内では十分に検証できなかった在宅場面での計測など利用場面を広げてCOPDにおける呼吸数のモニタリングの有用性を検証していくことで、労作時においても呼吸数の計測がより簡便に実施できるようになると期待される。
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Medical & Biological Engineering & Computing
巻: 57 号: 12 ページ: 2741-2756
10.1007/s11517-019-02062-2