研究課題
若手研究(B)
過敏性腸症候群(IBS)は繰り返す腹痛と排便異常を呈する機能性消化管疾患である。近年腸内細菌との関連も指摘されるも疾患に一定した傾向は議論が有る。またIBSは視床下部-下垂体-副腎皮質軸の反応性が健常者と異なるとされる。唾液コルチゾールはストレスと関連するが、IBSの口腔内環境の報告は殆どない。申請者らはIBS患者は症状出現時と、非出現時の口腔、便の細菌叢、代謝について検証した。IBS患者のうち腹部症状出現時は、便細菌叢ならびに短鎖脂肪酸や神経伝達物質代謝が変化していることが示された。一方、便細菌叢変化について、健常者群とIBSの通常排便時で有意差を認めなかったが、歯垢では有意な菌を認めた。
今回、IBS患者と健常者間、更にIBSの通常排便時と腹部症状出現時比較により、消化管細菌叢のみならず、短鎖脂肪酸や神経伝達物質代謝の変化を明らかにした。これまで申請者らはIBS患者の大腸伸展刺激時の局所脳活動変化を報告してきた。IBSは中枢神経と消化管神経叢間での双方向の情報伝達関連が示唆されるものの、IBSの腹部症状出現タイミングの予測が困難なため研究手法が限られていた。本研究のように侵襲が少ない細菌叢をターゲットとし、同一被験者について複数回の検体採取、並びに縦走オミクス解析を行うことで、今後IBSの症状出現時の消化管環境メカニズムの解明に寄与できる可能性を示すことができた。
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