研究課題
若手研究(B)
小児B前駆細胞型急性リンパ性白血病において、アスパラギナーゼは血清中のアスパラギンを枯渇させる。正常血液細胞においてはアスパラギンはASNSによって再合成されるが、ALL細胞は十分にアスパラギンを合成することができない。今回、ASNS CpG islandは正常な血液細胞では非メチルを、ALL細胞ではアリル特異的にメチル化を呈しており、アスパラギナーゼ感受性との関連を明らかにした。ASNS遺伝子のメチル化は7q21領域のインプリングクラスターと関連していた。また、臨床的には予後不良なALLではASNSのCpGislandが低メチルを示し、アスパラギナーゼ低感受性が予後不良の一因と考えられた。
小児急性リンパ性白血病におけるASNS遺伝子プロモーター領域のメチル化状態がアスパラギナーゼの薬剤感受性に関連していることは、個別化医療の発展に貢献しうる。また、ALLの核型は従来より代表的な予後因子として知られていたが、そのゲノム薬理学的な根拠の一つが明らかになった。ASNS遺伝子のメチル化はアリル特異的に起こっていることが理解され、がんの薬剤感受性にゲノムインプリンティング現象が関連している新規の知見が得られた。これらの成果は、ALLに対する臨床応用にとどまらず、がんの分子細胞生物学を解明する礎となりうる。
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