研究課題
若手研究(B)
ニホンヤモリ種群の求愛の鳴き声に対する祖先形質復元の結果、主に同種群全体の分布の辺縁域にみられる系統で、パタン型の鳴き声からパタンが独立に5回失われたと推定された。また、パタン型のオスでは咬合力(闘争能力を示す)と鳴き声の卓越周波数に相関はなく、メスは卓越周波数に対する選好性を示さなかった。一方、ランダム型のオスでは咬合力の大きいオスほど低い卓越周波数で鳴いており、メスは低い卓越周波数の鳴き声を好んだ。以上の結果は仮説を支持し、①地理的隔離にともない種認識する必要性を失い、②種認識に不要となった鳴き声が配偶者選択に特化することによって鳴き声のパタンが失われたことが示唆された。
本研究は、ニホンヤモリ種群の求愛コールにみられる儀式化(シグナル構造とその構造にコードされた情報の共進化)の逆過程が、①地理的隔離にともない種認識する必要性を失ったことによって可能となったこと、②種認識に不要となった求愛コールが配偶者選択に特化することによって推し進められたことを示唆するものである。これらの結果は、これまで報告がほとんどなかった儀式化の進化過程について数少ない実例を提供するともに、シグナル理論の発展に大きく寄与するものであると考えられる。
すべて 2020 2019 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (2件)
Akamata
巻: 27 ページ: 21-24
https://teppeijono.jimdo.com/