研究課題
若手研究(B)
本研究は、腫瘍組織内のエネルギー代謝異常の可視化が可能な分子イメージングを用いてメタボロミクスの観点から腎腫瘍の新たな鑑別診断方法について検討することを目的とした。目標症例数を50例としたが、研究期間を通じての症例登録は4例のみであり、検討継続中である。本研究の進捗状況の遅れから、転移性腎癌の分子生物学的検討を行った。低リスク群と高リスク群の間で有意な遺伝子発現の差異を認めた。この遺伝子発現データをもとに遺伝子発現の再プログラム化(高リスク群から低リスク群へのプロファイル転換)を達成し得る薬剤を検討した。LY294002(PI3K阻害剤)を含む13種類の候補薬剤が同定された。
転移性腎癌における全身治療薬は数多く存在するが、その治療選択モデルはいまだ確立していない。本研究によって、リスク群ごとの遺伝子発現プロファイルの違いが明らかにされたことにより、既存の臨床的予後予測モデルが分子生物学的基盤を根拠とした治療選択モデルへと大きく位置づけが変わるであろう。さらにその治療選択モデルに基づいたリプログラミング療法という新たな治療概念を採用することで、効果的・効率的な個別化医療の実現に寄与すると考える。またドラッグリポジショニングを達成することができれば、高騰する医薬品の価格を抑制し、その医療経済的波及効果は計り知れない。
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Japanese Journal of Clinical Oncology
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