研究課題
若手研究(B)
本研究では、コンピュータ技術を用いて、合理的に抗体の物理的安定性を制御する手法を開発することを目的とした。(1)コンピュータ上での変異導入実験によって、6000以上の変異体を含む、バーチャルライブラリを作成した。その中に、親和性を維持したまま熱安定性が向上している変異体が存在することを、示差走査熱量計とELISAを用いて実験的に確認した。(2)安定な抗体と不安定な抗体のアミノ酸配列を比較し、安定性向上のための変異を同定した。分子シミュレーションを用いることで、その安定化要因を明らかにすることができた。こうして得られた変異体情報をもとに、機械学習による抗体安定性評価のための予測モデルを構築した。
物質を分子レベルで自在に設計・制御する技術は、多くの研究者にとって「夢の技術」である。蛋白質の物性を自在に制御できるようになれば、基礎研究のみならず、蛋白質医薬品や新規素材開発への応用など、その社会へのインパクトも大きい。代表者が本助成により開発してきた計算・情報科学技術と、蛋白質工学や物理化学測定の実験手法を融合させることで、新たな分子操作技術の開発へ向けた次世代蛋白質工学への展開が期待できる。本研究で開発に取り組んだ、生体分子の物性を自在に制御するコンピュータシステムにより、将来的には抗体の完全人工設計や人工蛋白質の創製など、「夢の技術」の実現につながると考えている。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
Journal of Biochemistry
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