研究課題
挑戦的研究(萌芽)
美術史の〈様式 style〉と自然史の〈種 species〉という2つの学術領域の根幹をなす基礎概念を手掛かりに、19世紀、近代諸学問の黎明期に、ウィリアム・アンダーソンが〈日本美術史〉構築に適用した西洋美術史および自然史の方法とその関係を探った。また、当時のジャパノロジスト(外国人日本研究家)による考古学・人類学など隣接分野の縄文・アイヌ研究と近年の分子生物学の成果から、現在の最大の課題として、縄文土器に代表される縄文美術を〈和人〉と〈本土日本〉中心に記述した〈日本美術史〉の原点とすることには問題があり、〈脱中心化〉する必要があると指摘して、今後の研究の方法と方向性をあきらかにした。
美術史と自然史、考古学、人類学、民族学など、近代に分化した諸学問との関係から19世紀のジャパノロジスト(外国人日本研究家)による研究を捉え直し、これまで見過ごされていた縄文とアイヌに関する〈日本美術史〉の課題をあきらかにした点に学術的意義がある。また、19世紀から続く単一の〈起源〉への強い関心からシフトして、〈日本美術史〉における〈中心〉と〈周縁〉の関係を問い直したことによって、今後の教育や出版などに注意を喚起し、日本の多文化社会への理解を促進する可能性がある点に、社会的意義があると考える。
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根津美術館紀要『此君』
巻: 9 ページ: 41-64