研究課題/領域番号 |
17K18558
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中林 真幸 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (60302676)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2018年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2017年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 経営者のモラルハザード / 情報の非対称性 / 企業の所有構造 / 所有の規律 / 市場の規律 / 企業統治 / 市場の自己実現的失敗 / 所有構造とレバレッジ / 所有構造と経営成績 / 社債発行の歪み |
研究成果の概要 |
本研究は、まず、所有構造が株主/経営者間問題、すなわち経営者のモラルハザードに及ぼす影響を捉える理論的な枠組みを提示する。この枠組みから、非効率的な市場においては、株主が、経営者に対して、長期的な総資産利益率(ROA)の最大化ではなく、レバレッジの操作による短期的な株主資本利益率(ROE)を促してしまう可能性が予測される。続いて、1878-1910年の東京株式取引所上場全銘柄のパネルデータを構築し、予測の妥当性を調べる。その結果、理論予測通り、社長所有率が高いほどROAが高い一方、ROEには影響がないこと、経営状況の悪い企業は社債レバレッジを歪めてROEを引き上げることが明らかにされた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、アメリカのように極端に効率的な市場においては経営成果が所有構造に対して独立であるとしても、アメリカ以外の多くの市場においては、所有の集中が市場の非効率を補うことを予測し、1世紀前の東京市場においてそれが成り立っていることを明らかにした。この結果は、日本において、創業経営者が多くの株式を所有する企業の業績が好ましいことをよりよく理解する視点を提供する。また、本研究の理論的な予測は、非効率的な市場においては、株主が、経営者のモラルハザードを予測していながら、経営者報酬を抑制するために、ROAではなくROEを成果指標として強調してしまう陥穽を指摘する。これも現代の市場の問題点に直結する。
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