研究課題
挑戦的研究(萌芽)
嫌気的メタン酸化は海水環境での重要なメタンシンクとして研究が進められてきた.本研究では淡水環境での嫌気的メタン酸化による物質循環の解明を目的として,生物地球化学的研究を進めた.間隙水中の硝酸塩や硫酸塩は極めて微量であるが,メタンと鉄は高濃度で含まれている湧水域近傍の湖沼堆積物を研究対象とした.標的反応を担う微生物の多い堆積物深度数cmでは,嫌気的メタン酸化活性も顕著であった.本研究により,水酸化鉄の供給が顕著な表層堆積物では,嫌気的メタン酸化アーキアによる鉄依存的なメタンサイクルが活発であることが示唆された.
嫌気的環境下で発生したメタンの多くは微生物の働きによって大気に放出されることなく分解される.この反応は特に海洋環境でのメタン放出を抑制する生物学的機構として重要であるが,淡水環境においても同様のプロセスがあることが近年分かり始めている.この反応が卓越することが期待される自然環境として溶存鉄とメタンが豊富な湧水堆積物に着目したところ,水酸化鉄の供給が盛んな堆積物表層においてこの反応を担う微生物のシグナルが顕著に検出された.本研究は,鉄の酸化・還元に共役した形でメタン循環も活発に進行することを示唆していた.
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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