研究課題
挑戦的研究(萌芽)
海洋研究開発機構高知コア研究所が所有するマルチコレクター型二次イオン質量分析計IMS 1280-HRを用いて炭酸塩の炭素同位体比(13/12C)、酸素同位体比(18/17/16O)と、硫化鉱物の硫黄同位体比(34/32S)の局所分析手法を確立し、応用研究を実践した。隕石の炭酸塩研究では、一部の小惑星は固体CO2が集積するほど寒冷な遠方で形成されたことを突き止めた。クロマグロの耳石研究では、不定形試料を固定研磨する方法を確立し、酸素同位体比から水温が異なる産卵海域産の個体を識別する事に成功した。海底熱水鉱床研究では、鉱床の成長過程で硫黄同位体比が20パーミル以上変動する事を明らかにした。
柔らかい炭酸塩や硫化鉱物を平滑に研磨できるようになり、微小試料の精密な元素・同位体比分析が可能となった。炭酸塩は耳石やプランクトン炭酸塩殻の様に生態や環境変動の記録を調べたり、熱水活動などの無機的な化学反応の変動を調べたりするなど、多様な研究に於いて有効な鉱物である。局所同位体比分析手法を確立し、かつクロマグロ耳石試料や隕石試料研究で成果を上げた事で、同手法が研究手法として実用的である事を証明した。
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