研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究の目的は、ケージ試験等、積極的アプローチにより魚類の放射性セシウム(Cs)汚染のメカニズムを解明することである。原発周辺のため池におけるコイおよびウナギのケージ試験により、当試験では魚類のCs濃度を数十Bq/kg程度に高められることを確認した。ため池のCs含有水(約2Bq/L)を用いたウグイの飼育試験により、筋肉中のCs濃度は環境水の約10倍に濃縮されることが明らかとなった。一方、同ため池の魚類筋肉中のCs濃度は数千Bq/kg以上で、濃縮係数も約2400と高いことから、天然環境下では環境水中のCsによる寄与は少なく、餌生物を介したCsの取込みが主な汚染経路であることが明らかにされた。
福島原発事故に伴い放出された放射性セシウム(Cs)による淡水魚の放射能汚染の影響は長期化しており、それら汚染メカニズムの解明や将来予測が関連業界や学術界から強く求められている。本研究では、高濃度に汚染された原発周辺における魚類のケージ試験や採集調査、およびCs含有水を用いた飼育試験を行うことで、淡水魚のCsの取込み経路を明らかにした。具体的には、天然環境下では環境水中のCsによる寄与は少なく、餌生物を介したCsの取込みが主な汚染経路であることを明らかにした。本研究成果は、原発周辺水域における魚類のCs汚染経路の解明に寄与し、特に食物連鎖を介したCsの取込みの重要性を示した点で、意義が大きい。
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