研究課題/領域番号 |
17K19386
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
西住 裕文 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (30292832)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2018年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2017年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 嗅覚 / 遺伝子改変マウス / 臨界期 / 刷り込み / 記憶 / シナプス形成 / 神経回路 / 神経科学 / 刷り込み記憶 / オキシトシン / 可塑性 |
研究成果の概要 |
高等生物は、新生仔期の外環境からの感覚刺激によって脳神経を可塑的に変化させ、嗜好性・社会性・環境適応性などを獲得する。本研究ではマウス嗅覚系において、生後一週間という臨界期のSema7AとPlxnC1の相互作用が、嗅細胞軸索と僧帽細胞樹状突起間のシナプス形成を促進し、匂い刷り込みを成立させていることを明らかにした。また、特定の匂いを嗅がせて刷り込み記憶させると、扁桃体内側前部が活性化されるようになり、例えその匂いが本能的には忌避性であっても、刷り込み後は誘引性に変化することを見出した。更に、刷り込み記憶の誘引的価値付けに、新生仔期に高発現するオキシトシンが重要であることも明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
嗅覚系の刷り込み現象を明らかにした本研究の成果は、百年以上前から広く知られているが未解明であった刷り込み現象、例えばアヒルのヒナが孵化後に初めて見た動く物体を親と記憶して生涯追従する行動や、サケ・マスが産卵のために生まれた支流に戻って来る母川回帰行動などにも敷衍でき、刷り込み現象を分子・神経回路レベルで理解する突破口となった。将来的には、臨界期における適切な感覚刺激や体験の欠如が、ヒトの精神発達障害、特に愛着障害や自閉症を引き起こす原因の理解へと繋がり、予防法や新たな治療法の開発に役立つと期待される。
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