研究課題
挑戦的研究(萌芽)
視覚定位行動を行う甲殻類端脚目トビムシのTalitrus saltatorの複眼は、光軸に対し個眼軸が大きく曲がっており、不完全な導波路としての光情報の損失が危惧される。本研究では、個眼レンズの3Dモデルを形態学的解析により構築し、レンズ基部から入射した光のレンズ表面での拡散角度(理論値)の物理光学的シミュレーションを実施し、電気生理学的に個眼の受光角(実測値)を測定した。視細胞を取り囲む反射色素細胞の高い光反射性により、光情報の損失を生じず、これまでの報告にない広い受光角をもつことを明らかにした。また偽瞳孔の角度変化を利用して非侵襲的に個眼の受光角を推定できることが分かった。
本種の複眼では、反射色素細胞の高い光反射性により、個眼の光軸が曲がっていても光情報の損失は起こらないことが示された。また、偽瞳孔の角度変化を指標とした各個眼の受光角の推定方法を確立した。本種の複眼構造は連立像眼型に分類されるが、隣接する複数の個眼での視野が大きく重複する。ガ類やハエ類などの複眼も視野が重複するが、各個眼情報は光学的に重複している。しかし、本種の個眼情報は独立しており、機能的に全く異なる新しい結像系を発見したことになり、空間弁別資材として利用できる可能性が高い。また、主成分が生元素の反射色素細胞は生分解性が予想され、エコフレンドリーな新しい反射素材としての応用展開が期待できる。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (6件)
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