研究課題
挑戦的研究(萌芽)
高頻度逆行性遺伝子導入を示すレンチウィルスベクターは、狂犬病ウィルス糖タンパク質 と水泡性口内炎ウィルス糖タンパク質の断片からなる融合糖タンパク質をエンベロープとして持つ。このベクターは脳内における複雑な神経回路ネットワークの機能解析に有益であるが、ベクターの神経終末への導入に関するメカニズムは不明である。本研究では、このベクター受容体の同定を試みた。候補分子に対する種々のノックアウトマウスの脳内への注入実験は、これらの分子あるいはその代謝産物が受容体である可能性を否定した。一方、種々の糖鎖切断酵素を混合した注入実験は、シアル酸がベクターの細胞表面への結合に関与する可能性を示唆した。
本研究により、これまで実体の不明であった、RVに関連するベクター系受容体にはシアル酸を持つ糖鎖が関与する可能性が示唆された。本受容体の解明は、神経科学研究に重要な高頻度逆行性遺伝子導入ベクターの神経終末への結合および取り込みの機構を明らかにすることに繋がり、これらのベクターの導入効率を向上させるための有益な情報を提供すると考えられる。また、実際の狂犬病ウィルスの受容体である可能性もあり、本ウィルスの感染を防御あるいは軽減するための臨床応用にも結び付く可能性がある。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件)
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