研究課題
挑戦的研究(萌芽)
IBD合併大腸腫瘍マウスモデルにおいて大腸上皮の腫瘍化に伴い変化するユビキチン化修飾タンパク量を網羅的に同定し得た。また我々は以前、大腸上皮の腫瘍化でTNFR2の発現が亢進すること、同モデルへ抗TNF抗体を投与することで大腸腫瘍を抑制し得ることを見出してきたが、本研究ではイカルガマイシンがTNFR2のリガンドである膜型TNFを効率的に誘導することを見出した。さらに、TNF産生を収束させる制御機構が細胞レベルで存在すること、イカルガマイシンがその制御機構を障害することを見出した。
網羅的ユビキチン化修飾タンパク同定法は腫瘍発症機序解明やその予防法・治療法開発の基盤技術になりうると考える。また、細胞レベルでTNFの発現制御機構が存在しその破綻によりTNF産生が亢進するという概念は、炎症性発癌のみならず自己免疫性・炎症性疾患の病態解明に新たな視点を提供するものである。現在までTNF研究では、TNFR1に比べてTNFR2シグナルに関する知見が乏しかったが、本研究で明らかになった膜型TNFの効率的な誘導法は、膜型TNFを主なリガンドとするTNFR2に関する研究へ大きく貢献すると思われる。
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