研究課題
挑戦的研究(萌芽)
細胞外に放出されたATPは、組織損傷の情報を免疫系に伝える危険信号(danger signal)として働く。本研究では、マクロファージなどの炎症性細胞が細胞外ATPに応答して炎症性サイトカインの一つであるインターロイキン-1β(IL-1β)を放出する際のミトコンドリアの役割を検討した。その結果、ATPに対する受容体として機能するリガンド作動性イオンチャネルP2X7の下流で、機能を保持したミトコンドリアがカルシウムを能動的に取り込むことが、細胞外ATPによるIL-1βの効率の良い放出に重要な役割を担う可能性が示された。
近年、さまざまな疾患の病因あるいは増悪因子として慢性炎症が注目されていることから、炎症の程度や持続時間を制御する機構の解明が急務である。その足がかりとなるのが、炎症のトリガーとして働く炎症性サイトカインIL-1βの産生機構の解明である。本研究では、IL-1βの産生にミトコンドリアの機能が重要であることが明らかとなったことから、ミトコンドリアの機能を維持することが慢性炎症をコントロールする一つの方策となることが示唆される。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (21件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
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