研究課題
挑戦的研究(萌芽)
株式会社JMDCが保有する健診データを用い、高血圧発症者と非発症者が同数になるようアンダーサンプリングを行った対象者で機械学習を行い、発症予測のための人工知能を構築した。次に大迫コホート研究のデータを用い、この予測能を測った。結果、ニューラルネットワークよりもロジスティック回帰分析の人工知能の方がややバランス良く高血圧発症と非発症を分類できていた。しかし、いずれの分類能も不十分と考えられた。そこで変数のカテゴリ化等を実施し精度向上を図ったが、大きな改善は認められなかった。脳卒中発症予測についても同様に検討したが、JMDCで構築した人工知能の大迫研究対象者におけるF値は極めて低値であった。
JMDCデータで構築した高血圧・脳卒中発症予測の人工知能を大迫研究データに適用することは困難と考えられた。これは学習と検証に用いたデータに含まれる対象者特性の相違が原因と考えられる。傾向スコアマッチングによる両データの特性を一致させる、データのスケール変換などにより大迫研究データと互換性が取れるJMDCデータの再構築をする、といった前処理に関する今後の検討の必要性を明らかにした点で、本研究は萌芽研究として一定の意義を有するものと考える。
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日本循環器病予防学会誌
巻: 54 ページ: 163-169
J Am Heart Assoc.
巻: 8